これは雨の物語
シラユキ
「はい。ご飯よ」
彼女に連れられ、僕は木で出来た建物に来た
これが家というらしい
温かい水で体を流し、彼女は抵抗してたけど僕は体の拭き方を知らなくて拭いてもらった
そして今、目の前には固形物がいろいろ入った飲み物を出された
「……もしかして食べ方が分からないの?」
彼女のこれは一人言ではなくて、僕に言ってるんだと教えられた
頷くと、彼女は不思議な顔をしていた
「どうやって生きてきたのよ…。これはシチューっていう料理よ」
そういうと銀色の先が丸いものを持って、丸いところでシチューをすくい口に入れた
そして顎を動かして…飲み込んだ、のかな
「こういうふうに、スプーンですくって、噛んでから飲み込むのよ」
スプーンとやらを渡され同じようにシチューを食べてみる
シチューを口にいれると今まで知らなかった不思議な味が口の中いっぱいに広がり、その味がもっと欲しいと思った
「おいしい?」
彼女はニコニコしながら聞いてくる
そうか。これは美味しいのか
今まで地下には飲み物があって、それをお腹が減ったときに一本飲めば大丈夫だったから、こんな感覚初めてだった
地上ではこんなに素敵なものがあったのか
「……おい、しい」
彼女を見ると笑っていた