これは雨の物語






シラユキは窓を見るたびに悲しそうな顔をする


雨を見るたびに、胸を押さえている



でも私はみてしまった

シラユキの首の後ろに水の紋章があるのを


15年間毎日雨を降らせるのなんて、水の紋章を持っているあなたしかいないんじゃないの?


そう思うのに、どうしてあなたは雨を見るたびに辛そうなのよ




「朝ごはん、僕が作るよ」


そういってシラユキはキッチンへ向かう


「えっ、ひとりで出来る?」


「大丈夫。座ってて」


手を引っ張られ椅子に座らされる


シラユキって、よく手を触ってくるんだよなぁ


シラユキの手は冷たくて、ひんやりして心地いい


私の手とは正反対


私はギュッと自分の手を握りしめた




ご飯を待ってる間本を読んでいた


これは紋章についての本


この世界には水、火、風、地の4つの紋章がある


それらは常に誰かが所持している


この紋章を持つ者はそれぞれの性質の強力な魔法を使うことが出来るのだ


そしてこの本を何度読んだって、この本に載ってる水の紋章とシラユキの首の後ろの紋章の形は似ていた


やっぱり雨を降らせることが出来るのは…シラユキしかいないよ…


どうしてって思う気持ちを、グッと呑み込んだ





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