これは雨の物語
「はい、ごはん出来た」
出てきたのは私が作り方を教えたスープ
シラユキは隣に座ってこちらをみている
はやく食べてって、ことかな?
「いただきます…。ん、おいしい…」
シラユキは少しだけニコッとしてこちらに頭を出してくる
何かしたあと、つまり褒めてほしいときにこうやってくる
私はその姿が可愛くて頭をポンポンと撫でる
そうするといつも無表情なシラユキが満面の笑顔を見せてくれるんだ
「そういえばバニラ、今日綺麗な格好してるね」
「よく気付いたわね?街へ出かけようと思って」
「街…。ああ、本で読んだな…人がいっぱいいるとこ、だよね?」
シラユキは地下にいたときに読んだ本で地上での知識を補っているみたい
「一緒に行く?」
「あ、いや…やめとく」
そういってシラユキは髪の毛を触り始めた
月の民の特徴、だもんね…
「じゃ、行ってくるけど大人しく待っててね」
「うん」
「ふふっ。こーゆーときは、いってらっしゃい、って言うのよ」
「い、いってらっしゃい?」
「よし、いってきますっ」
私は外へ出て青と白の水玉の傘をさした