これは雨の物語
街に着くと馬に乗った兵隊たちがちらほらいた
その中の真っ白な馬に乗った真っ黒な髪の兵隊さんに声をかけられる
「こんにちはバニラさん」
「こんにちは、ショウオウさん」
ショウオウさんは街の警備をしながら、水の紋章を持つ物を探している
「今日は買い物ですか?」
「えぇ…食料と、水を」
「ははは、水ならそこらへんにたくさんあるのに。バニラさんは贅沢ですな」
普通ならこの雨水をためて、加熱して冷やしてから飲むんだろうけど私はそれが嫌だった
「こんな呪われた水…触りたくもないのに」
「…失礼。バニラさんは雨により餓死者が出たとき、ご家族を…」
「あ、いやっ。すいません。聞かなかったことに…」
「いえ、俺も同じです。嫁を亡くしました。この雨のことを恨んでいないかと問われれば、もちろん恨んでいます。
それでも自分が生きるためにはこの雨でさえ体内にいれなければいけない。自分との葛藤でしょうな」
「………です、ね」
この雨のせいで大切な人を亡くした人がたくさんいる
私もそのうちの一人
ねえシラユキ。許してなんて言わない
だからこの雨を止めてよ
………なんてね。