これは雨の物語
「少し眠くなってきた…」
「ピィッ」
「そうだね。今日は寝ようか…おやすみ、マル」
「ピィィ」
もう一度フードを深くかぶり僕は目を閉じた
「…と」
誰かの声がする
「……っと」
声がどんどん大きくなる
「ちょっと!!起きて!!!」
体を揺らされ、目をあけるとそこには金髪の女の子がいた
「生きてた…よかった」
彼女は涙を流した
そんな彼女の姿を見て僕は驚いた
初めて見る僕以外の人間
人間の目、鼻、口、耳
暗闇の中で育った僕は自分の顔さえ見たことがなくて、こんな風になってるんだなって思った
彼女は涙を拭くと笑いかけてくる
「死んでるのかと思っちゃったよ。なんでこんなところにいるの?」
「……」
「えっと…?もしかして、話せない…の?」
「……」
「…そういえば綺麗な目ね…。もしかして言語が違うのかな」
「……」
「どうしよう。こんなところにいたら風邪引いちゃうし…」
「……よく喋る人だね。マル」
「ピィィィッ」
「え!?なによ!話せるんじゃない!!」