これは雨の物語
「マル、寒いね…おいで」
「ピィッ」
「ちょ、ちょっと!無視??」
女の子に肩を掴まれる
さっきから一人で喋ってるし、なんなんだ
「あなた、名前は?」
「……」
「聞こえてるんでしょ?鳥と一緒にいる白い髪のあなたに言ってるのよ」
僕は慌てて髪の毛を抑える
いつのまにかフードがとれていた
この人もしかして僕の髪を売ろうとしているのか
「ねえ、返事くらい…!!」
「死にたくない…」
「………え?」
「髪の毛なんていらない…でも、死にたくない」
「ちょっと…」
言葉にして初めて気付いた
これが恐怖であり、僕はまだ生きたいのだと