恋の残り香 香織Side
「私が恵まれてるって何なの?」


切れた電話に向かって怒鳴りつけた。


「恵まれてなんかない!
私は一生足が不自由なのに!
そのくらいしてもらっても」


言いかけてハッとした。


バチ ハ アタラナイジャナイ


怒りに任せて出た気持ち。

それは紛れも無く香澄の本心だった。

心の中ではそう考えていたが、蓋をして見ないようにしてきた気持ち。


「アハハ…私もお母さん達と同じだ…」


自分がとても恥ずかしくなった。
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