恋の残り香 香織Side
何日待っても琴美の携帯に美加からの連絡が入ることはなかった。

琴美が正直に話すと、香澄は今までで一番辛そうな顔をした。


「どうにか出来ないかな?」


香澄が呟いたので、琴美は目を伏せた。

互いに動こうという気持ちがなければどうにもならない事がたくさんある。

もし運命で引き寄せられた二人でも、動き出す一歩がなければそこから何も生まれない。

美加は健司が動く意志を見せなければ踏み出すことはないだろう。

そういう女性だと琴美は感じた。


「…私が出来るのはここまでだよ。
あとは二人が自分達で決めるしかない」


琴美の言葉を香澄は悲しそうに聞いていた。
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