恋の残り香 香織Side
初夏の風が吹く。

香澄はリハビリを積み、日常では困らない程歩けるようになった。

大学はまだ休学している。

心に溜まったモヤモヤは未だに晴れていない。

町をぶらぶらと歩いていると、遠くに見覚えのある人影を見つけた。

急いで後を追う。

その先に手を振る女性が見えた。

幸せそうに笑い合う二人を見て、香澄は涙が出るほど嬉しかった。

きっとあの女性は美加に違いないだろう、そう思った。

自分が奪ってしまった幸せを、二人が取り戻したのなら、これ以上嬉しいことはない。

香澄は二人の姿に背を向け歩き出した。

心も体も軽やかだった。
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