恋の残り香 香織Side
「あなたの足ね、元のようには動かないの」
入院して一ヶ月半が過ぎた頃、母親が涙を堪えながら言った。
「…やっぱりね」
香澄は明るく振る舞った。
「動かせないからおかしいって思ってたの。
リハビリ、頑張って損したじゃない。」
その姿を見て母親は、堪え切れなくなり病室を出た。
ショックじゃない訳がない
だけどこれ以上悲しませなくない
命が助かった代わりに足を神様にあげたと思えばいいだけのこと…
それだけの…
一人になると我慢していた涙が溢れてきた。
声が零れないように、布団に顔を押し付けて泣いた。
病室のドアが開き、香澄は慌てて布団をかぶった。
「香澄さん?」
健司の声が聞こえてきた。
香澄は布団からそっと顔を出した。
香澄の涙を見て、健司は辛そうな顔をしていたが、香澄はその訳を考える余裕なんてなかった。
「私ね、左足、元に戻らないんだって…
本当はね、分かってたの、何となく…
でも、どうしても受け入れられないの…」
泣きじゃくる香澄の手を健司がそっと握った。
香澄は健司にしがみついて泣いた。
入院して一ヶ月半が過ぎた頃、母親が涙を堪えながら言った。
「…やっぱりね」
香澄は明るく振る舞った。
「動かせないからおかしいって思ってたの。
リハビリ、頑張って損したじゃない。」
その姿を見て母親は、堪え切れなくなり病室を出た。
ショックじゃない訳がない
だけどこれ以上悲しませなくない
命が助かった代わりに足を神様にあげたと思えばいいだけのこと…
それだけの…
一人になると我慢していた涙が溢れてきた。
声が零れないように、布団に顔を押し付けて泣いた。
病室のドアが開き、香澄は慌てて布団をかぶった。
「香澄さん?」
健司の声が聞こえてきた。
香澄は布団からそっと顔を出した。
香澄の涙を見て、健司は辛そうな顔をしていたが、香澄はその訳を考える余裕なんてなかった。
「私ね、左足、元に戻らないんだって…
本当はね、分かってたの、何となく…
でも、どうしても受け入れられないの…」
泣きじゃくる香澄の手を健司がそっと握った。
香澄は健司にしがみついて泣いた。