僕と暮らしてくれませんか
***
「わあっ!素敵!」

高速バスに揺られ、およそ一時間で着いた、旅館「倉」(くら)。
趣深い外観におばあちゃまの家を思い出す。
おばあちゃまだけはいつもわたしの味方だった。わたしの好きなことをたくさんさせてくれた。


「よぉ!彗。よく来たな。
彼女さんも初めまして!
彗の中学生の同級生、倉野尾好(くらのおい)です。お部屋にご案内します。」

そう礼儀正しく言うと、倉野は私たちを個室へ連れて行った。

個室はとても広く、畳の匂いがわたしを安心させた。

「ご入浴は6時から、お食事は7時に持って参りますので、それまで観光をお楽しみください。」

じゃーなっ!と、倉野は元気良く部屋を出て行った。
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