僕と暮らしてくれませんか
辺りはにぎわっていて、人がたくさんいた。

押され潰れそうになるわたしを彗が引っ張って受け止めてくれた。

「環、約束して。今日はまずスマホを肌身離さず持つこと。勝手にどこかしら行かないこと。」

そう、実は旅行で足りないものを買いに行った日。
わたしはトイレに行っている間に、スマホの充電が切れてしまい彗とはぐれてしまったのだ。

(その後、彗に店内放送されてすごく恥ずかしかった。)

前課があるため、わたしは「はい」、と言いながら少ししょんぼりした。

「あと、手、離さないこと。」

そうして彗がわたしの前に手を差し出す。わたしはにっこりして

「はい」

その手を握って言った。
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