僕と暮らしてくれませんか
お母様はわたしが口を塞いでいる手を優しく撫でた。



「ごめんね…。」



泣き入りそうなお母様の声。

張り上げていない、初めて聞いた声だ。


「環。あなたにお願いがあるわ。」




わたしはすこし肩をあげてしまう。


「怖がらないで聞いてほしいの。



高校生になったらここを出なさい。

お金は心配しないで。


自由に生きて頂戴。

環の幸せが一番だわ。」
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