綺麗に泣く
見てみて〜、1年生カップルかな〜
かーわいいー
何しに来たんだろ?
なんて声がチラホラ聞こえる。
「百武、うちら、カップルて間違えられてる!百武の好きな巨乳先輩にも勘違いされるかも!?困るよね、よし離れよう」
さささっと、距離を取る明に、顔を赤くしながら距離を詰める百武。
「まだ引きずってたのかよ。つか、なんで巨乳だけ取るんだよ!」
なんで、近付いてくるの!
別にいいだろ、俺別にその先輩のこと好きじゃねえし。
ははーん嘘だね、バレバレなんだよ!
嘘じゃねえし!まじだわ!
なんてやりとりをしている間に歩みは進み、とうとう敦さんの教室までやって来てしまった。
おおおおお、どうしよう
3年生は、美人さんが多いなあ!こんなあたしみたいなチンチクリンが敦さんのこと呼びつけていいのか!?
「百武君よ、呼んでくれ。」
なんだよ、ここにきて恥ずかしいってか。と思いながらもちゃんと頼まれてくれる優しい百武。
「番場先輩!!」
教室で友人たちと飯を囲んでいた敦さんは、チラッと目だけこっちを見て、やって来た。
「はい、何?」
「あ、あの!クリーニングして来ました!先日はどうもすみませんでした!」
「ああ、ありがとね。おバカ田ちゃん。」
中身を確認すると、敦さんはそう言った。
「え、え、おバカ田ってあたしのこと?」
敦さんは、フッと笑って、そうだよ。と笑った。
「あ、俺のジャージも取りに来たんすけど」
「ああ、はい。ありがとね、百武君」
んじゃ、昼飯中すんませんした。という百武の言葉で帰ろうとしたところ、二人は呼び止められた。
「あ、明ちゃーん!」
あ、お連れの方じゃん(名前知らない)
「今日さ、文化祭の出店の前売り券販売すんだよね、放課後。絶対買いに来て、ここ当たりだからさ!」
「当たりって何するんですか?」
「牛丼屋!」
お連れの方のアッケラカンとした笑顔と、“牛丼”にすっかり引き込まれた明は、ヨダレを垂らしている、ように見える。百武には。
「よかったじゃん、明、牛丼好きだもんな?」
「うんうん!絶対買いに行きます!取っといて下さいね、前売り券!」
おバカ田という新しいあだ名と、牛丼のおかげで、明はルンルンとした気分だった。
午後の授業もいつもより興奮気味で、暴走していた。(わからないのに発表したり、わからないくせに楽しそうだったり)
そして、7限目が終わった頃、倒れた。