綺麗に泣く
ふーん、変なことするなよってね、と百武が残した言葉を思い、敦さんは、フッと笑う。
「あ、敦さん、なんでこちらに?体調悪いですか?」
「いや、俺は体調管理ぐらい自分でするから、倒れたりしないんだよね。どっかのバカみたいに。」
明は、何が何でも自分のことをバカだと言う敦さんに、はぁ、と肩をすくめる。
バカで良かったと思うこともあるけど、バカバカ言われるのもあんま良い気しないなあ、と感情が表に出やすい明の頰は、プクッと膨れる。
「なに、怒ってんの。」
そう言って明の膨れた頰を指でつつく。
「ははっ、ごめんごめん。明のこと見てたらイジメたくなんだよね」
え!今、今あたしのこと!
「明って呼んだ…。」
唖然と口を開く。
「あー、百武くんそう呼んでるし。他の呼び方知らないし。いいよね?」
勿論です!と首を激しく縦に振る。
「牛丼券欲しい?」
「え、はい!」
目を輝かせる明の反応を面白く思う敦は、うーん、と考える。
「タダではあげないけどね。」
「え!何したらいいですか!」
「んー…じゃあ、ライン教えて。」
突然の敦さんからの条件に、ビックリして目をパチパチさせる。
…なぜ?
「な、なんでですか」
「え、嫌?俺の受験勉強の息抜きになりそうじゃん。」
ホオオオオオ!敦さんの息抜きを手伝えるのか!とても光栄じゃん!
「ライン言います!息抜きのお手伝いさせていただきます!」
敦さんは、うん、と笑ってスマホを取り出した。
そして二人がお互いの連絡先を追加し合ったところで、保健の先生がやって来て、敦さんとは、別れた。