綺麗に泣く
EP.04

文化祭当日

大盛況により、廊下もろもろ各教室は大混雑。

「百武!牛丼行くべ!」

「え、やだよ。もちっと人空いてからにしようぜ。」

「何言ってんの!人はいつになっても多い!しかも!午前中が敦さんのシフトなんだから!」

ラインで聞いたんだあ、とニッコニコな明に、わかったよ、と付き合ってあげる百武。(明に弱い)

早く早く、と人の間をすり抜けて行く明に置いて行かれまいと、百武は必死だった。

牛丼屋の前に着く頃には、二人とも汗だくになった。

「あっぢぃ。並ぶのかよ、この行列。」

牛丼屋にできる行列を見て、肩を落とす百武に、明は言い聞かせる。

「どこ行っても行列だよ!ドンマイ百武。並んでる間はあたしの相手でもしては?」

「お前の相手なんて嫌ほどしてるっつの。」

まあまあ、そんなことおっしゃらずに。と上機嫌な明の相手をしていると、二人の肩をトントンと叩かれた。

「ちょ、こっちおいで。」

内緒話をするように声を潜めるのは、毎度のごとく、お連れの方。

その胸には、【春吉】と書いてある。

ほう、春吉さんか。苗字か名前かわからんな。
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