綺麗に泣く
なんだろう、と首を傾げる二人は、春吉さんの声を潜める様子からして、ソーッと動いた。
そして、仕切りのカーテンの奥に入れられると、バーンと大きな声がした。もちろん声の主は、春吉さん。
「じゃーん!VIPルームだよー!」
はぁ?と顔をしかめる百武とは反対に、おおお、と顔を輝かせる明。
「っつっても俺らのサボり場なんだけどね。」
「連れてきたのかよ」
こちらを一瞥してそう言うのは敦さんで。
「牛丼持ってくるから、待ってて〜」
そう言って春吉さんは、カーテンの向こうへ消えていった。
「表出ないんすか。」
「うん。俺たち会計。会計にシフトなんていらねーだろって抗議しても、平等にするためなんだって。」
百武と敦さんの会話になにか棘が感じられるのは何故だろうか。