綺麗に泣く
EP.02
「はあーあぁ…」
「おい、こんな天気良い日の朝からそんな盛大なため息やめろよ。なんだよ、どうしたんだよ」
そう、天気は良好。朝イチ、文化祭で使う看板の色塗りをしている。
「百武は優しいねー。いつでもあたしの相手してくれて。」
「は、お前なんなの、投げやり感スゲーよ、元気出せよ」
明のブッスーとした顔と声に苦笑いをかます。
「ま、たいそうあれから先輩と会えてないーとかなんじゃないの?」
「え、なんでわかる!」
見てりゃわかるだろーよ、と先輩のことで一喜一憂する明に呆れる。
「もーさ、いっそのこと文化祭なんてどーでも良いよね!」
そう言って、ピンクのペンキがついたハケを振り回す。
ベチャ。
え、え。嫌な音した、よね?
音のした方、明の後方を振り返ると
「おい、なにこれ新種のペインティング?」
額に青筋をピクつかせて、笑う敦さん。と爆笑するこの前のお連れの方。
…ヤバイ。
「すみません!すみませんほんと!洗いに行きましょう!ね!」
無理やり敦さんの背中をグイグイーっと押して水道へ向かう。
百武カモン!!
口パクで助けを求められた百武は、しょうがねえなって様子で、タオルを手にし、明を追いかけた。