綺麗に泣く
EP.03
「おはよう百武。今日はなんて気分の良い朝なんだ!」
「はよ。気分の良いってお前、どしゃ降りじゃねえかよ!」
「あたしの心は晴れだよ!悲しいかな、百武の心には雨が降っているのだね。」
うんうん、と慰めるように百武の肩を優しく叩く明は、上機嫌だ。
「何キャラだよ!でなに?なんか良いことあったの?」
「あったんじゃなくて!これからあるの!」
ほら、見てみて、と鞄の中からクリーニング点の紙袋が出される。
「ああ、先輩のね。返しに行く時、言って。俺もジャージ貸したまんまだから。」
何気なくそういう百武の顔面に、明の掌が突きつけられる。
「うおっ!」
「ドント ウォーリーだよ。1人で行って、ちゃんと百武のジャージももらってくっからさ!」
パチンとウインクをかます明とは反対に、心配が顔に現れる百武。
「3年の教室まで1人で行けんのか?この前も行けねーっつって、購買前で待ってたんじゃねえの?」
ハッ!!
ウインクまでして得意そうだった顔から顔がみるみる歪む。
「そうだった〜。仕方ない、百武、ヘルプミー!」
「はいはい。」
俺もだいぶいいように使われてんな、と思いながらも、別に悪くないかと納得する百武であった。