先生、死ぬ前に私と恋して下さい

「普通に菊山でいいよ。」

「…先生、下の名前で呼ばせる気ないんですかぁ?」

「駄目だ。

いやなら、馬でもいいぞ。」

「なんでですか。」

「ん?中坊の頃競馬で俺に勝るものいなくてよー、

なんでか知らんが馬になったんだわ。

今思うと爆笑だわ。」

と言って先生は笑った。

…誤魔化した。

なんで下の名前で呼んだら駄目なの。

「馬さーん、菊山さーん、


あず…」
「駄目っつったろ。」


そう言って先生はわたしの口を手で覆った。

…線、引かれた。


「もー、さっさと行きましょう!

菊山ー」

「お前、呼び捨てやめろや。」

わたしは笑った。

…笑えてたかな?
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