夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
(2)
診療所で過ごすようになって、二週間が過ぎた。
ユメは、あの日……。ワシが怒鳴り付けた日以来、姿を見せなくなった。
清々するーー。
そう思いながらも、医師や看護師以外誰も訪れて来ないこの病室はあまりにも静かだと感じていた。
天邪鬼で、素直ではない自分。
そんなある日。
ワシの病室に、ある人物が訪ねてきたーー。
「!!……親分《ボス》?!」
それは、当時ワシが所属していた何でも屋を束ねる親分《ボス》のまさかの訪問。
各地を任務によって転々とするワシ等に決まった拠点《アジト》はなく、一箇所に長く身を置く事はないから手紙すら出せない。ましてや身動きが思うようにとれないワシは、自分から戻る事が出来ない。
そんなワシがここにいる事を親分《ボス》は探り当て、会いに来てくれたのだ。
迷惑をかけたのに、と感無量じゃった。
やはり、親分《ボス》の元はワシの家族同然ーー。そう思った。