夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ユメは私の元に来なかった二週間、ずっと孤児院の先生に付いてもらって言葉遣いや年頃の女の子の装いを勉強していたらしい。
狭い田舎町の中が自分の世界の全てだったユメにとって、色んな場所や国へ行った事のあるワシはとても魅力的だったそうだ。
仕事の事、異国の事、些細な事やワシからしたら下らない話でさえ彼女は瞳を輝かせて聞いていた。
「何でも屋さん?人に頼まれた依頼を叶えるなんて素敵な仕事!
人に夢を届ける……。じゃあ、ギャランさんは”夢の配達人”ですね!」
「フッ、なんだよそれ。俺は郵便屋か?」
明るい彼女の笑顔を見て、ワシはいつしか一緒に微笑えるようになっていた。
何でも屋のみんなと居る時とはまた違う、ユメとの穏やかな時間。母親を知らないワシにとって、些細な事で笑い合えるこの安心感が家族の温もりに近い事など分からなかった。
ユメが、ワシに本当の家族を教えてくれているなんで……全く気付かなかった。