夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「はいっ、毛布ですよ〜」
そう言って、おそらく孤児院の自室から持って来た毛布をワシの肩に掛け、自分も同じ毛布に包まるようにして寄り添ってきた。
ただ、それだけ。
特別な言葉も、慰める仕草もない。いつもと変わらない自然体のユメ。
……だが。
それは初めて感じる、優しい、暖かいぬくもり。
何故この娘《こ》は、こんなにもワシの事が分かるんじゃろう?
見付けてくれた、独りぼっちにしないでいてくれた。
誰よりもワシを見てくれて、寄り添ってくれた彼女の本心は分からなかったが、ユメの全てがワシの心に浸透して、じゅんっと胸を暖かくした。
この娘《こ》は天使かーー。
そう感じた、名も知らぬ想いがワシを動かす。
「っ……!」
「?……ギャラン、さッ……」
”それ”は絶対に女の子が憧れるムードも、シチュエーションのカケラもないものだった。
ボロい小さな物置小屋で、後頭部に回された手で強引に引き寄せられて、一回り以上年も年も違うオヤジによって奪われた天使の唇。
そして……。