夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「お前はあっちの軽い工具持って来い。これは俺が運んでやる」

「えっ?で、でも、そんなの申し訳ないですっ……」

彼が両手でも持ち上げられなかった木材の束をワシがひょいっと片手で持ち上げて歩き出すと、作業中にズレた眼鏡を直しながらノイは必死に手を添えようと付いてくる。

ワシよりも約15㎝は高い身長。だが、身体の線は細く、色白で誰がどう見ても文化系のノイ。黒ぶちのダサい眼鏡を外し、クセ毛の灰色の髪を整え、しっかりとした服装をすれば間違いなく美形や美少年と呼べる部類の彼は、本来であれば絶対に仲良くなれないタイプであろう。
じゃが……。

「みんな頑張っているのに、僕だけ楽するなんて不公平ですから!」

そう言って、土やホコリで汚れた顔を真っ赤にして頑張る姿。苦手な事からも目を逸らさず立ち向かう姿は、いつも自然とワシの表情と心を和ませてくれた。
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