夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「んじゃ、あれか?若いのに頑張って仕事してんのは、自費出版でもするから、とか?」
「あ、いえ。それは、出産費用を稼ぐ為です」
「……。はい?」
「あと一ヶ月位で産まれるんで、色々と準備にお金がかかるんです」
これにはさすがに耳を疑った。
笑顔で話すノイに、ワシは真顔で質問を続ける。
「出産、って……ガキが産まれんのか?」
「はいっ!」
「……誰の?」
「僕のです!」
「……お前の母ちゃんがじゃなくて?」
「違います!僕の奥さんが僕の子供を産んでくれるんです!僕、お父さんになるんです!」
タラタラと汗が出てくる。自分よりはるかに年下に見えるこの少年は、もしかしたらそこそこ年齢がいっているのか?と頭を過る。
「……お前、いくつよ?」
「この間、16になりました!」
あ、そうか。そうだよな、良かった。
ノイの返答に、年齢の予想は合っていた事にホッと一安心。
ーーの!筈がない!!