夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「僕は、例え彼女の子供が自分の子供じゃなくても構いません。彼女が僕を騙していても、利用していても構いません。
……ただ、好きなんです。僕が彼女を好きなんです!」

こんな風に、真っ直ぐに愛されたら、どんな詐欺師でもお手上げじゃろう。

「ギャランさんは彼女も、そんな僕の事も否定しないでいてくれた。
そんなギャランさんの創る何でも屋は、絶対に素敵な何でも屋になるに違いありません!」

ーー惚れてしまう。
老若男女問わず、惹かれてしまう。
じゃが、抱き締めたい、口付けたいとか……そういうやましい感情ではなく、ずっと彼を見ていたくなる。

トクンッと暖かく胸打つ鼓動が、ワシを変えてくれた。
土の中で長く眠っていた蝉の幼虫が、時を経て成虫になり大空を飛び立つようにーー。
新たな世界が、ノイを通じて、見えた。
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