夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
それに『おかえりなさい』と言う、まるでワシがこの町の住人か家族かのような迎え方。
何故……?
悪人と呼ばれても仕方のないと思っていた自分が穏やかに迎えられて茫然と佇んでいると、ママ先生はこう言葉を続けた。
「ついて来て下さい」
ワシにそう言って、子供達に「良い子にしているのよ」と声を掛けると、孤児院の裏の方へ足を進め始める。その後ろ姿にハッとして、ワシは追い付こうと早足で歩み寄った。
何処へ行くんだーー?
約二ヶ月程この町に滞在していたのに、ほとんど診療所とその辺りしか歩いた事のなかったワシは、ママ先生が何処へ向かっているのか全く見当も付かなかった。
だが、ママ先生の穏やかな雰囲気に期待してしまう。
この先にユメが居て、会える事を……。
そしてワシの気持ちも理解してくれ、ユメとの仲を認めてもらえるのではないか、と……。
期待で高鳴る鼓動。
……しかし。
現実は、そう甘いものではない。