夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
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そして、あれからもう38年ーー。
ワシも年を取り、シュウもいい大人になった。
シュウは、ユメに似て優しくて賢い。けれど、ワシに似て少し弱いところがあった。
それでも、たくさんの仲間や暖かい家族に恵まれて毎日を生きている。
夢の配達人は、ワシの想像以上に大きく立派になった。
親を亡くした孤児を引き取ったり、一度夢を失ったり、道を踏み外した者に声をかけ、焦らず、少しずつ、ゆっくりと築き上げた。
「……見ていてくれているじゃろうか?ユメとノイは」
ワシにとって、夢と未来をくれた大切な二人ーー。
そんな二人にワシが出来る事を、自分なりに考えて生きてきた時間でもあった。
ユメへは、シュウと共にある時間で……。
シュウの、1番愛おしい人と結ばれるという夢は叶えてやれんかったが、ユメの分まで一緒に居て、今でもその日々の成長を思い出せる程に一瞬一瞬を大切に見てきた。
いずれこの世を去り、もしもユメに会えたら全てを話してやれるように。