夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
あの言葉に込められた想い。子供……。
そして、ノイの素性が、今ならハッキリと繋がった。
「全く、下手な偽名なんぞ使うから気付くのが遅くなってしまったではないか……。
ノイ、……いや。リオンの嘘吐き野郎」
これが、正直者の彼が隠し通した最大の嘘。
ーーそう。
ワシにノイと名乗っていた人物は、今我々が敵対している男シャルマの息子リオン。
そして、ヴァロンは……その、リオンの息子。
これは運命の悪戯なのか。それとも……。
ーーリオンは、もしかしたら全てを知っていたのだろうか?
自分の幸せがいつまでも続かない事も。自分の息子ヴァロンが、ワシの元に来て夢の配達人になる事も……。
彼ならば全てを、知っていたのかも知れない。
「なぁ、リオン?ならば、ヴァロンの未来は幸せに繋がると……信じていいか?」
全てを知っていたのならば、リオンがヴァロンを不幸にする未来に繋げる筈はない。