夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「こちらは処分して、すぐに新しいポケ電をご用意致します」

アカリ様の番号を消してお返しする事も考えたが、それでは向こうから連絡が来た際にお二人は再び繋がってしまう恐れがあった。

半端な甘さは、悲劇を招く事になるーー。
リオン様を失った際に身をもってそれを学んでいた私は、もはや鬼だった。


淡々と告げ、私は懐からナイフを取り出すとその柄の頭部分で、マオ様の目の前でポケ電の画面を破壊した。

車内に響く鈍い音。
何度か叩かれた画面には無数の亀裂が入り、もう電源もはいらなくなる。


「……ディアスなら、喜んでくれると思ってたのにッ」

ナイフを懐に戻し、壊したポケ電を見つめる私の横でポツリと呟かれた言葉。


「楽しい事、一緒にっ……探そうって。
友達、いっぱい……作ろう、って……。それなのに……ッ」

記憶を失って目覚めた日。
初めてお会いした日に私が言ったセリフを、マオ様が詰まらせながら呟く。
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