夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

ーー不思議だ。
彼女からは見ているだけで元気を貰える。

「嬉しそうだね」

アカリ様を見てつい笑みをこぼしていた私に、兄上が言った。

「アランとアカリさんが知り合いだったなんて……知らなかった」

そう言葉を続けた兄上は、複雑そうな表情。

今朝、久々の休暇だった私が「一緒に出掛けませんか?」と声をかけた時は明るい表情を見せていたのに、行き先がアカリ様の勤め先のパン屋だと分かると、分かりやすいくらいに表情を曇らせていった。
様々な報告から、兄上の心中は察する。

……だが、私はただ単にアカリ様に避けられたくないが為に兄上をここへ連れて来た訳ではない。今日どうしても兄上とこの場を訪れ、話がしたかったのだ。
それが例え、兄上に"ヴァロン"だった頃の記憶を呼び醒してしまう恐れがあったとしても……。

兄上専属の執事、ディアス。奴を強引に振り払ってまでここに来たのは、私の気持ちを兄上に伝える為ーー。
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