夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
ここまで話して、兄上に記憶が戻るならそれでも良かった。むしろ、戻ってほしいと望んでいたのかも知れない。
私は、卑怯な手を使ってアカリ様を自分のものにしようとは思わない。
兄上には……。ヴァロンには、隠し事はしたくなかった。
私の本当の気持ちを、伝えたかった。
「彼女も、彼女の子供達も幸せにしたい。
父親になると言う事は、簡単ではないかも知れませんが……。引き離す事は絶対にしません」
「……」
「祖父には……。シャルマ様には反対されるでしょうが、何があっても私は自分の意志を貫こうと思います」
「……」
「兄上。応援して下さいますか?」
「!っ……アラン」
ーー意地悪な質問だ。
アカリ様が元妻だと知りながら……。そして、今現在も兄上が彼女に惹かれ始めている事に気付きながらこんな質問。
完全に、自分の中に燻《くすぶ》る罪悪感を消す為の自己満足だった。
だが、正直……。YESと答えて欲しいのか、NOと答えて欲しいのか、私には分からなかった。