夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「マオさん、あの……」
「っ……!!」
「!ッーー……え?」
考えるよりも先に。言葉よりも先に。身体が僕の心の中に眠る想いに突き動かされるように、動いてた。
会いたかったーー。
空っぽになった頭に浮かんだ、言葉にならない程の想い。
すっぽりと包み込める彼女を、壊さないように……。でも、その存在を確かめるようにキュッと抱く。
暖かい体温。微かに響いて伝わる鼓動。
フワッと香る甘い香りは、パンの香りではなく彼女自身の匂い。
制服のバンダナが外れて、僕の頬に彼女の艶やかな黒髪が触れた。
胸がいっぱいになるーー。
天国、楽園、そんな場所が存在するのならば、僕にとっては今"此処"がそうだとすら感じた。
少し身体を離して、両手で彼女の両頬に触れる。僕を見上げる、潤んだ瞳に熱を帯びた表情。
1つになりたいーー。
まるで魂がそう言っているかのように……。呼び合うように、自然と互いの唇が近付いていた。