夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「アランなら……きっと、幸せにしてくれますよ。
っ……だから、これからは……会う時は、アランを通じて……会いましょう?」

間違った事は、何一つ口にしていない。
それなのに、胸が痛くて、締め付けられて、苦しい。

ああーー……泣きそうだ。

そんな溢れてそうな気持ちを瞼に閉じ込めて、ギュッとつむった時だ。


「何で……そんな事、言うんですか?っ……」

耳に届いた震えた声にハッとして、思わず顔を上げてしまった。

そこに居たのは、初めて会った時のように、悲しい瞳と表情をしたアカリさん。
僕に"何か"を訴えるように……。でも、抑えるように身体を震わせて、拳をギュッと握りしめていた。
そんな彼女を見ていたら、まるで自分から大切な一部を引き剥がされるような痛みが胸に走る。
でも……。

「私の幸せを……勝手に、決めないでッ!私がっ……、私が好きなのはっ……」

「ーーッ!!」

でもそれ以上に、アカリさんの想いを知るのが怖かった。

自分に迫る痛みと恐怖に耐えきれなくて、僕は咄嗟に自分の手で両耳を塞いで、彼女から目を逸らした。
< 172 / 411 >

この作品をシェア

pagetop