夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「っ……お前はもう少し、自分の価値と立場を自覚すべきだ」
俯いたままプイッと方向転換して歩き出すと、背後からぶっきら棒な声が掛けられる。
「兄上の事ばかり考えている場合ではないぞ。
お前はアルバート様の血を引く孫娘。その事を忘れるんじゃない」
その、どこか真剣な響きに思わず顔だけ振り返るが……アラン様も私に背を向けて歩き出していた。
大切な事を忘れるなーー。
そう、言われた気がした。
私がその言葉を掛けたアラン様の真意を知るのも……もう少し、後の事。
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