夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「あ!お父さん、おかえりなさい!」
「!……その声は、ミライ?」
扉の開いた気配に目を向けると、そこには外出先から戻ってきた父が立っていた。
ここは夢の配達人の隠れ家内にあるマスターの部屋。
以前は前マスターだったおじいちゃんの部屋だっけど、今は現マスターであるお父さんの部屋なんだ。
僕が傍に行くと、優しい大きな手で頭を撫でてくれながらお父さんが言葉を続ける。
「また見に来ていたんですか?」
「はいっ、トレーニングに行く前に"あれ"を見るとヤル気がもっともっと出るんです!」
僕はそう答えて、再び視線を"あれ"の方に向けた。
父の仕事机の端に置かれたそこにあるのは、四角いガラスケースに入った一つの白金バッジ。
この白金バッジは三年前、当時所有者だったヴァロンさんが返した物だった。