夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

やむ得ぬ事情でこの白金バッジを手放す形になってしまったヴァロンさんに代わって、当時誰が新たな白金バッジの夢の配達人になるかと話題になった。
ヴァロンさんの弟子だった僕はその時まだ後継出来る年齢ではなかった事から、当時マスターだったおじいちゃんはディアスという金バッジの夢の配達人を指名した。

……しかし。
そのディアスはそれを辞退し、またその次に有力候補だった者達もそれを断った。
その結果、この三年間この白金バッジの所有者は不在となっている。争い、奪い合われる事もなく……。


みんな、きっと分かっているんだ。
この白金バッジには、初代所有者の夢を届ける妖精リディア。そして、伝説の夢の配達人と謳われたヴァロンさん。
二人の強い想いが宿っている。
こんな、夢の配達人にとっては何よりも重い宝物を、自分達が簡単に手には出来ない。手にしてはいけないのだ、と……。

……
…………。
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