夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
この推測にはかなり自信があった。
商店街エリアに入ると、身を隠せそうな路地裏や建物や店の間を入念に探索する。
……
…………しかし。
探しても探しても、僕はヴァロンさんの背中すら見付ける事は出来なかった。
すらっとした長身に、珍しい白金色の髪をした容姿。誰よりも人目を惹くであろうヴァロンさんを、僕は捕まえるどころか見付ける事すら出来なかったんだ。
変装して、人に紛れていたーー?
……いや。
それ以前に、僕は間違っていたんだ。
それに気付いたのは、15時を報せる金が鳴る直前に、ヴァロンさんに背後から頭をポンッと叩かれた時。
「捕まえた!」
その言葉と同時に、港街に15時を報せる鐘がゴーン!ゴーン!……と、鳴り響く。
ゆっくり振り返ると、ニッと意地悪そうな微笑みのヴァロンさんが、少し首を傾げて僕を見降ろしていた。
「俺の勝ちだな、ミライ」
そう言われて、何故ヴァロンさんを見付ける事が出来なかったのかが……解った。