夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「おおっ、お前達!よく来たな、会いたかったぞ!」

「おじいちゃん、こんにちわー」

「わぁ〜い、じいちゃ〜!」

陽に照らされると眩しいほどに輝いていた緑の葉も、徐々にその色を赤茶色に変えていくーー。
季節は、秋。

私は子供達を連れて祖父であるアルバートの本邸を訪れていた。


「お祖父様、お久し振りです」

「ああ、元気そうで何よりだ。
ヒナタもヒカルもまた大きくなったなぁ〜」

久々の再会に喜ぶヒナタとヒカルを、お祖父様も優しい笑顔と対応で迎えてくれる。

「アルバート様。アカリ様とひ孫様達にお会い出来て嬉しい気持ちは分かりますが、ここは玄関です。中へ入っていただきましょう」

そんな様子を側にいたローザにくすくすと笑いながら注意されると、お祖父様は「おお、そうだな!」と照れ臭そうに頭をかいて、家の奥へと案内してくれた。


和やかな、暖かい雰囲気ーー。
でも、私にとって今回この場を訪れたのは……ただ会いたかったからだけじゃない。
私は確かめたかったのだ、現実を……。

そして、別荘の使用人長であった筈のローザがこの本邸に居て、アルバート様の側に居るという事を目の当たりにして、悟った。
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