夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
『お前はもう少し、自分の価値と立場を自覚すべきだ』
『兄上の事ばかり考えている場合ではないぞ。
お前はアルバート様の血を引く孫娘。その事を忘れるんじゃない』
あの人《アラン様》が言っていた事が、この時になって初めて……解った。
「アルバート様は、万が一の時はこのまま自分の代で会社を手放すおつもりだと思います。
っ……しかし!私はあの方の頑張りをずっと側で見てきました。アルバート様の努力の結晶を、ここで終わらせてしまうなんてっ……」
秘書さんの、心からお祖父様と会社を想う言葉。
自分の無力さと、本当に私は守られてばかりだったのだと気付いた。
ヴァロンと結婚してから今まで、少しでもお祖父様や会社の事を考えた事が自分にはあっただろうか?
私がアルバート様の孫娘として出来る事を考えた事が、あった?
ーーっ、一度も、ない。
ヴァロン、ヴァロン、ヴァロン……。私はいつも彼の事と、自分の事しか考えてなかった。