夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】


「あ、あのっ……報告書、お待たせしました」

「ああッ?うるさいな!そこに置いておけっ……、ッ?!
ーーマ、マオ様!し、失礼致しました!」

定時だと言うのに慌ただしいオフィス内。
報告書を提出しに訪れた僕に思わず怒鳴った上司は、その怒鳴った相手が僕だと気付くとすぐにハッとして席を立って頭を下げた。

「本日もお疲れ様でした!
どうぞ、もうお時間ですのでお帰り下さい」

報告書を両手で丁寧に受け取って、作り笑顔でそう言う。


ーー嫌だな、こういうの……。

僕は部下なのに、会長の孫だというだけで特別扱い。他のみんなはまだ仕事があって、残業で帰れないというのに……。

でも。だからと言って、おそらく僕が残って手伝える事なんて何もないのだろう。

「……はい。
お疲れ様でした、お先に失礼します」

足手まといになるだけ。
そう、言われなくてもわかった僕は頭を下げると、自分の机に戻って荷物をまとめてオフィスを後にした。
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