夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
もう、アラン抜きで会ったりしない。
これからは弟の家族として……。身内として、大切にしたいと思うから……。
どうか、ずっと笑っていてーー?
心の中で、そう願った。
その時……。
「ーー兄上」
「!ッわ……!」
妄想の世界から現実へ。
肩に手をポンッと置かれてビクッとオーバーリアクションで振り返ると、背後に居たのは少し首を傾げて僕を見降ろすアラン。
「驚かせてすみません。ノックしたのですが、返事がなかったもので……」
「あ、ううん!ごめん、ちょっと……考え事してて」
そう言葉を交わしながら、内心ビクビクしていた。
アランと目を合わせていると、さっきまで自分がアカリさん達の事を考えていた事がバレてしまいそうで……。バレてはいけない気がして、隠そうと必死だった。
「ア、アランがここ《シャルマ邸》に来るなんて珍しいね!どうしたの?」
平常心を装って何とか会話をする。
アランは自分が持つ邸宅か別荘に住んでいるから、普段は全く別々の生活。この屋敷に顔を見せる事は珍しく、祖父が不在の今日訪れてくるなんて全くの予想外だった。