夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
自分が気付かないうちに何か失敗をしてしまったとか、知らず知らずのうちに迷惑をかけてしまったとか……。悪い事しか思い浮かばない。
そんな、緊張感高まる僕にアランが言った。
「部下達に聞きました。最近、以前より積極的に仕事に取り組んでいるそうですね」
「えっ?……あ、うん」
そう言われてますますドキッとする。
やっぱり、何かミスをしたのかと不安な気持ちが押し寄せてくる。
けど……。
「いい傾向だと思います。
以前より、表情も良くなったんじゃないですか?」
「……え?」
それは、予想もしていなかった優しい言葉と声。
「そうやって出来る事からでいい。兄上は元々は出来る人間だったのですから、貴方が前を向けばきっとすぐに何でも出来るようになる」
「……」
優しい声に誘われてアランの顔をしっかり見ると、そこには声に負けないくらい優しい表情があった。
「……もしかして。それを僕に言う為に、わざわざ来てくれたの?」
アランが僕にそんな事を言う為だけに、会いに来てくれた?
半信半疑に問いかけると、アランはハッとして僕から顔を逸らして自分の右手を口元に当てる。