夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「久々に、ここのシェフの食事を食べたいと思っただけですよ。
……兄上も、夕食まだなのでしょう?」

"一緒に食べましょう"ーー。
僕のクセと同じのアランの照れた仕草が、不器用な言葉の本当の意味を、教えてくれていた。

嬉しいーー。
胸が暖かくなって、僕の表情も心も自然と緩む。

「……あ、うん!
ま、待ってて?すぐに片付けるから」

弟の思いがけない夕飯の誘いに、はやる気持ちを抑えながらさっきまで机の上に広げていたものを片し始める。
すると、それを見ていたアランが一枚の資料を僕の机から手に取った。


「……兄上、新しいカフェの企画案を考えていたのですか?」

「え?っ……あ!あ、ぁ……それはっ」

アランが見ているのは、拙い言葉で綴った企画案の一部。社長であるアランには最終的にはどうせ見られてしまうのだが、今は何だか恥ずかしくて僕は慌てて取り返すとサッと鞄の中に隠した。
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