夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「アラン、お前だってそう思っているだろう?
それに……」
身体が冷えてきて、凍りついて……もう、前に進む事が出来ない。
けど、これ以上ここに居たくないのに……退く事も出来ない。
「あいつとあいつの母親がいなければ、お前の母親が死ぬ事もなかった。
あいつ等がお前と母親と父親の幸せを奪ったのだからな」
「っ……それは、……ッ」
家族に、なりたかった。
過去を忘れてしまっても、せめて仕事が出来るようになれば……。僕も祖父と弟の居る場所へ行けると思ってた。
でも……。
「仕事などあいつには必要ない。
私があいつに期待しているのは、ミネア嬢との件だけだ」
でも、それは……本当にただの理想。
僕の思い描いていた、空想でしかないのだと思い知る。
「あいつはただの種馬同然。
さっさとミネア嬢との間に世継ぎを設けて、その絆を確かにしてもらえば……用無しだ」
扉の隙間から、「クククッ……」と喉を鳴らして笑う祖父を見て悟る。
童話の醜い鳥は、将来美しくなって、優しい仲間に囲まれて空を羽ばたけるけれど……。きっと僕は、どんなに頑張ってもそんな風にはなれない。
永遠の、憧れでしかないのだと……。
……
…………。