夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「ぼ、僕の考えた企画なんて無理だと思ったん……だけど、っ……そのっ」
久々に祖父の屋敷を尋ねると、自室にこもって作業をしていた兄上がそう言った。
最近、報告書の作成や簡単な資料のまとめを手伝っており、以前より積極的になったとは報告を受けていたが……。
まさか、新しいカフェの企画案にまで自ら参加しようとしているとは思ってもいなかった。
内緒に作業していたのが私にバレてしまい、オドオドする兄上だったが、その姿を見ても苛つく事なく……。むしろ、応援してやりたくなる気持ちが溢れた。
ずっと昔の私だったら、絶対に兄上に対して抱かなかった感情。
母の仇である兄上には、憎しみと怒りしかなかった。
そんな私が気持ちが変わったのは……あの時だ。
兄上が脳の手術をする為に外国の病院へ移り、その病室にお見舞いに訪れた時の事。