夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
見舞いなんて建前で、祖父の命令で兄上が病院から脱走しないように見張る為だけにここに来ていた私。
そうでなければ、絶対に兄上の側になんて来なかった。
それなのに……。
「お前、俺の見舞いに来てくれたんだろ?それなのに、さっきから仕事してばっかじゃ〜ん!」
私の気持ちを知ってか知らずか……。
伝説の夢の配達人のクセに、実はただの馬鹿なのか……。
「見舞い、ってのは、その人を元気付けたり楽しくさせるもんだぜ?
……お〜い!聞いてんのか〜?」
私が無視すれば、ちょっかいを出してきて……。
私が手を止めて顔を上げれば、どんなに睨んでも、目を合わせて嬉しそうに笑うんだ。
……
…………。
「……少しだけ、だからな」
「やった!」
「その代わり。
私が勝ったら即やめだ!大人しく寝ろよ?」
「おう!OK、OK〜!
って事は、俺が勝ったらもう一回な?」
「!っ……はぁ?!」
上手い事ハメられていく。
呆れ顔で見つめると、ベッド横の棚にしまってあったオセロゲームのセットを出し、用意しながらまた兄上が微笑む。包帯の巻かれた左手を庇いながら……。