夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
私が撃ち抜き傷付けた大切な利き手。
そんな相手と遊びたいと思うなんて、どうかしていると思った。
……本当に、調子が狂う。
まあ、いい。さっさと終わらせよう。
「じゃ、やろうぜ〜」
「……」
仕方ない、と腹をくくりベッドに座っている兄上の前に移動して椅子に座った。
誰かと遊ぶ、なんて、カジノやお偉いとの付き合いの賭けでしかなくて……。ただ、"遊ぶだけのゲーム"なんてした事もない。
しかもそれを、自分がずっと"生涯の敵"だと思っていた相手としているなんて……信じられなかった。
複雑な心境の私と違って、一方の兄上は終盤に向かうまでの過程も終始笑顔。
「……楽しそうだな。
余程、自信満々と見える」
勝負は終盤になっても互いに一歩も引かない、という感じで最後まで勝負は分からない盤面だった。
だから私はその兄上の笑顔を、この勝負に勝てる余裕からだと受け取った。
……でも、違った。
その予想外の言葉が、私のこれからの兄上に対する気持ちを変える事となった。