夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「おむかえにきたひとに、おこられちゃったの?
ヒナとヒカルが、びしょびしょにしちゃったから?」
思いもよらなかった質問に驚く。
ヒナタが、人の気持ちがよく分かる子だという事は知っていた。
でも、まさかマオさんの心配をしていて、その原因が自分のした事だと思っていたなんて……。
さっきの「大丈夫?」は私へではなく、私にマオさんが大丈夫なのかと聞きたかったのだ。
「マオさん。もうっ……あそびにきてくれないの?」
「ヒナタ……」
質問の度に歪んで行く娘の表情。
今にも泣き出してしまいそうなヒナタを私はそっと抱き締めて、背中をポンポンッと優しく叩いた。
「そんな事ない。大丈夫、大丈夫よ?
マオさんは、またきっと遊びに来てくれるわ」
自分にも言い聞かせるようにしながら「大丈夫」と言うと、腕の中の娘が「ほんと?」と顔を覗かせて私を見つめる。
まだ不安が完全に消えていないヒナタの表情。