夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
「アラン、お前だってそう思っているだろう?
それに……あいつとあいつの母親がいなければ、お前の母親が死ぬ事もなかった。
あいつ等がお前と母親と父親の幸せを奪ったのだからな」
「っ……それは、……ッ」
ーー確かに、昔はそう思っていた。
けど、今はもう私はそんな事は思っていない。
そう言いたいが、これまでずっと祖父の下で動いてきた"幼い私"が染み付いていて、なかなか抜け出せない。
……それに。
「仕事などあいつには必要ない。
私があいつに期待しているのは、ミネア嬢との件だけだ」
「あいつはただの種馬同然。
さっさとミネア嬢との間に世継ぎを設けて、その絆を確かにしてもらえば……用無しだ」
そう言って笑う祖父の表情が、笑っているのにとても冷たくて……。どんなに必死になって自分の意志を伝えても、この人の考えや想いは変わらないと、感じた。
それと同時に、不思議に思う。
何故祖父は、ここまで兄上を嫌うのか……と。